事業内容

下請問題

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下請法

下請法は、規模の大きい会社(親事業者)が規模の小さい会社や個人事業者(下請事業者)へ、製品の製造を委託したり、あるいは機械・設備等の修理を委託する場合(下請取引)、一般的に立場の弱い下請事業者を保護するため、親事業者の義務禁止行為を定めた法律です。

親事業者の義務

下請事業者を保護するため、下請法では、親事業者に対し次の4つの義務を課しています(各項目をクリックすると詳しい説明が出ます)。

親事業者は、下請事業者から物品を受領した日から起算して60日以内のできる限り短い期間内に、下請事業者の受け取る代金(下請代金)の支払期日を定めなければなりません(下請法2条の2①)。

電話による発注などの口頭発注は、発注内容や支払条件が不明確になりトラブルが生じやすく、下請事業者に不利益が生じるおそれがあります。
そのため、下請法では、親事業者は、下請事業者に発注する場合には、直ちに、注文の内容、下請代金の額、支払方法を記載した書面を下請事業者に交付しなければならないとされています(下請法3条①)。

下請法では、下請事業者が親事業者に対して遅延利息を約定させることは困難であることから、親事業者が支払遅延をした場合には、年率14.6%の遅延利息を支払うことを義務付けています(下請法4条の2)。

親事業者は、注文の内容、下請代金の額、支払方法等を記載した書面を作成し、2年間保存しなければなりません(下請法5条)。
下請取引の記録・作成については、書類だけでなく、フロッピィディスクや磁気テープあるいは通信回線等による記録の作成・保存も認められていますが、必要に応じ、プリントアウトできるような仕組みにしておかなければなりません。

禁止行為

下請法では、親事業者が下請事業者に製造委託・修理委託をした場合、してはならない行為として、次の11種類の禁止行為を挙げています(下請法4条)(各項目をクリックすると詳しい説明が出ます)。

買いたたきとして下請法違反となるのは、

  1. 通常支払われる対価に比べて著しく低い額を定めること
  2. 価額を不当な方法で定めること(下請業者と十分協議しないなど)
 の2つの条件を満たした場合です。

指定納期に給付の目的物の受け取りを拒んだ場合のみならず、発注を取消したり、納期を延期したときも受領拒否に該当する。

下請事業者に責任があるとして返品できるのは、下請事業者が注文とは異なるものを納入したとき、指示どおりに修理していないときや汚れた物やキズ物などの不良品等を納入したときに限られる
。また、親事業者は物品等を受領後不良品を速やかに返品する必要があり、直ちに発見できない瑕疵の場合でも、受領後6か月を超えて返品することができない。

下請代金の減額とは、いったん決定された価格を後で値引くことであり、減額の名目、方法、金額のいかんを問わない。
 仮単価による発注は、発注後に下請代金が減額されるおそれがあるため、単価が決められないことに正当な理由がある場合以外は認められない。

親事業者は、給付を受領した日から60日を経過した日から、実際に支払をした日までの期間、年率14.6%の遅延利息を支払わなければならない。

一般的に手形の振出日から満期日までの期間(サイト)が120日を超えるものは、銀行、信用金庫、信用組合等の一般の金融機関において割引を受けるのが困難であると考えられることから、親事業者がこれらの手形を下請事業者に交付することは、下請事業者の利益を不当に害するものといえる。

親事業者が有償支給した支給材等を用いて下請事業者が製造した物品の下請代金の支払期日が10月30日の場合、親事業者は月日より早い時期に下請事業者に有償支給材の費用を支払わせてはならない。

親事業者は、正当な理由がないかぎり、親事業者の指定する製品や原材料等を強制的に下請事業者に購入させたり、サービス等を強制的に利用させて対価を支払わせてはならない。

親事業者は、下請事業者が親事業者の下請違反行為を公正取引委員会や中小企業庁に知らせたことを理由に、下請事業者への注文数量を減らしたり、取引を停止したり、その他不利益な扱いをしてはならない。

正当な理由がないのに、親事業者のために協賛金、協力金、対策金の提供及び下請事業者の従業員を派遣させるなど、下請事業者に対する下請代金の減額とは別個に行われる経済的利益を対象とする。

給付の受領前に、発注書面に記載されている委託内容を変更し、当初の委託内容と異なる作業を無償で行わせたり、給付後に、給付に関する追加的な作業を無償で行わせたりすることにより、下請事業者の利益を不当に害してはならない。

適用範囲

  1. 製造委託…親事業者が下請事業者に、規格、性能、品質、形状、デザイン、ブランド等を指定して、製品、半製品、原材料等の物品の製造またはこれらの製造に用いる金型の製造をしてもらうこと。
  2. 修理委託…親事業者が物品の修理を自社で行っている場合に、その修理を下請事業者に依頼すること。
  3. 情報成果物作成委託…情報成果物の作成の全部または一部を下請事業者に委託すること。
  4. 役務提供委託…役務提供行為の全部または一部を下請事業者に委託すること。役務には運送、ビルメンテナンスなどが含まれる。

<規制対象>

  • ①製造委託・修理委託及び政令で定める情報成果物作成・役務提供委託
  • ・資本金が3億円を超える事業者と、資本金が3億円以下の事業者あるいは個人との間の取引
  • ・資本金が1,000万円を超え3億円以下の事業者と、資本金が1,000万円以下の事業者あるいは個人との間の取引
  • ②情報成果物作成・役務提供委託(政令で定めるものは除く。)
  • ・資本金5,000万円を超える事業者と、資本金が5,000万円以下の事業者あるいは個人との間の取引
  • ・資本金1,000万円を超え5,000万円以下の事業者と、資本金が1,000万円以下の事業者あるいは個人と間の取引